◆ 「冒険家」というビジネスモデル、南極点到達の阿部雅龍が語る
冒険家といえば、「豪快」「無茶をする」というイメージがある。
しかし実際の冒険家は、むしろ優秀なビジネスマンよろしく、用意周到な計画のもと、1個1個の実績を積み重ねていく“堅実さ”が必要だ。
2019年1月に日本人未踏破のルートで単独南極点到達を果たした阿部雅龍さんに、冒険家という職業、ビジネスモデルはどうなっているのかを聞いた。
■ 日本人未踏破のルートで単独・徒歩による南極点到達
――2019年1月17日、日本人未踏破である「メスナールート」で、単独・徒歩による南極点到達を達成しました。
今回の冒険は、南極点までの900キロの道のりを、ソリを引きながら55日間かけて単独・徒歩で踏破するというものでした。
今年は例年にない豪雪で、進むことすら困難な状況が続きました。
膝ぐらいまでの雪をかき分けながら進むのですが、110キログラムのソリを引っ張らなくちゃいけない。
さらに、後半は風速10メートルの強風が吹いたため、顔の一部は凍傷にかかりました。
本来は無補給での南極点到達を目指していましたが、天候トラブルに見舞われたことで15日も余計にかかってしまい、途中でやむなく補給を受けました。
――南極というのはどんなところですか?
南極点の気温はマイナス30度。
そして、カタバ風(南極特有の強風。滑降風)という吹き下ろしの強風が常に強く吹いています。
今回のルートだと、海岸から南極点まではずっと登りで、南極点の標高は2830メートル。富士山の7合目ぐらいを歩いているのと変わりません。
体力的にハードですね。
当然、約2ヵ月間誰にも会わないですし、基本的に景色が変わらない。
360度、雪の地平線。精神面のタフさがないとキツイかもしれませんね。
あの環境は、僕は道具と経験とスキルがあるからできるんですけど、それがない人が行ったら、すぐ死ぬと思います。
南極は、人が簡単に死にますよ。
強風によるホワイトアウトが起こればどこに進んでいるのかも分からないし、凍傷や低体温症にならないためには知識と、その実践が不可欠です。
特に気をつけなければならないのが凍傷です。
――凍傷にならないためには、どういう工夫をするのですか?
南極で凍傷にならないためには、毎日水を5リットル飲みます。
南極というのは水分がすごく少なくて、気象的に乾燥していて砂漠と同じ条件なんですよ。
だから、呼吸しているだけで、汗をかかなくても水分を失っているんです。
気づかないうちに皆、脱水症状になってくるんです。
そうすると血液がドロドロになり、末端に血が行かなくなるんですよ。
簡単なことなんですけど、怠れば簡単に凍傷になる。
だから、水とかお湯をガンガン飲んで血液の循環を良くします。
あと、スキーを使って歩いている最中は、常に心臓より下に手を置いておきます。
心臓よりも手が上だと、手先まで血流が行きにくいんですよ。
そして、手先まで血液を回すには体のコアを暖めないといけないんです。
寒くなってくると、血液は体のコアに集まり始めちゃうんです。
だから、体のコアを暖めるため、ベストなどを着込むのが効果的です。
すごく単純なことなんですけれど、こういったことを知らないと、ごく簡単に凍傷になってしまいます。
そういう勉強もしなければいけない。
(ダイヤモンド不動産研究所編集部 野口達也)
※続きは下記のソースでご覧ください
ダイヤモンドオンライン 2019.4.10
https://diamond.jp/articles/-/199229
冒険家といえば、「豪快」「無茶をする」というイメージがある。
しかし実際の冒険家は、むしろ優秀なビジネスマンよろしく、用意周到な計画のもと、1個1個の実績を積み重ねていく“堅実さ”が必要だ。
2019年1月に日本人未踏破のルートで単独南極点到達を果たした阿部雅龍さんに、冒険家という職業、ビジネスモデルはどうなっているのかを聞いた。
■ 日本人未踏破のルートで単独・徒歩による南極点到達
――2019年1月17日、日本人未踏破である「メスナールート」で、単独・徒歩による南極点到達を達成しました。
今回の冒険は、南極点までの900キロの道のりを、ソリを引きながら55日間かけて単独・徒歩で踏破するというものでした。
今年は例年にない豪雪で、進むことすら困難な状況が続きました。
膝ぐらいまでの雪をかき分けながら進むのですが、110キログラムのソリを引っ張らなくちゃいけない。
さらに、後半は風速10メートルの強風が吹いたため、顔の一部は凍傷にかかりました。
本来は無補給での南極点到達を目指していましたが、天候トラブルに見舞われたことで15日も余計にかかってしまい、途中でやむなく補給を受けました。
――南極というのはどんなところですか?
南極点の気温はマイナス30度。
そして、カタバ風(南極特有の強風。滑降風)という吹き下ろしの強風が常に強く吹いています。
今回のルートだと、海岸から南極点まではずっと登りで、南極点の標高は2830メートル。富士山の7合目ぐらいを歩いているのと変わりません。
体力的にハードですね。
当然、約2ヵ月間誰にも会わないですし、基本的に景色が変わらない。
360度、雪の地平線。精神面のタフさがないとキツイかもしれませんね。
あの環境は、僕は道具と経験とスキルがあるからできるんですけど、それがない人が行ったら、すぐ死ぬと思います。
南極は、人が簡単に死にますよ。
強風によるホワイトアウトが起こればどこに進んでいるのかも分からないし、凍傷や低体温症にならないためには知識と、その実践が不可欠です。
特に気をつけなければならないのが凍傷です。
――凍傷にならないためには、どういう工夫をするのですか?
南極で凍傷にならないためには、毎日水を5リットル飲みます。
南極というのは水分がすごく少なくて、気象的に乾燥していて砂漠と同じ条件なんですよ。
だから、呼吸しているだけで、汗をかかなくても水分を失っているんです。
気づかないうちに皆、脱水症状になってくるんです。
そうすると血液がドロドロになり、末端に血が行かなくなるんですよ。
簡単なことなんですけど、怠れば簡単に凍傷になる。
だから、水とかお湯をガンガン飲んで血液の循環を良くします。
あと、スキーを使って歩いている最中は、常に心臓より下に手を置いておきます。
心臓よりも手が上だと、手先まで血流が行きにくいんですよ。
そして、手先まで血液を回すには体のコアを暖めないといけないんです。
寒くなってくると、血液は体のコアに集まり始めちゃうんです。
だから、体のコアを暖めるため、ベストなどを着込むのが効果的です。
すごく単純なことなんですけれど、こういったことを知らないと、ごく簡単に凍傷になってしまいます。
そういう勉強もしなければいけない。
(ダイヤモンド不動産研究所編集部 野口達也)
※続きは下記のソースでご覧ください
ダイヤモンドオンライン 2019.4.10
https://diamond.jp/articles/-/199229