http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20170623005148.html
耐熱性の膜を広げて、超小型衛星をゆっくりと宇宙から大気圏に再突入させる実験に成功したと、東京大などが23日発表した。
現在は高温になる再突入の危険性を減らす技術につなげられるという。
研究チームは1月、全長34センチの超小型衛星「EGG(エッグ)」を、高度約400キロを回る国際宇宙ステーション(ISS)から地球に向けて放出した。
EGGは、防火服と同じ材質でできた膜(直径80センチ)に空気を入れて傘のように広げて、薄い空気の抵抗を受けて速度を落としながら、約3カ月かけて降下。
5月中旬、赤道付近の太平洋上の高度約95キロで計画通り燃え尽きたという。
宇宙飛行士の輸送に使われているソユーズ宇宙船などは、高速で大気圏に再突入するため、空力加熱などによって高温になる。
実験のように、ゆっくりと再突入できれば加熱が抑えられ、耐熱シールドの簡素化や、安全な着陸につながるという。
研究チームの鈴木宏二郎東大教授(航空宇宙工学)は「宇宙から試料を持ち帰る際や、火星など大気がある惑星の探査に役立つ」と話している。
チームによると、耐熱膜に空気を入れて広げ、大気圏へ突入する技術の原理は、アニメ「機動戦士Zガンダム」の作中で、モビルスーツが大気圏突入時に使った半球状の装置「バリュート」と同じだという。(田中誠士)