今回、取材に応じたのは2009年当時、東京・武蔵野市の「武蔵野教会」に所属していた
統一教会信者のXさん。自民党の麻生太郎政権は支持率が低迷。
8月末の総選挙では政権交代が起きるのでは、との観測が強まっていた。
Xさんのもとに、教団幹部のF青年部長から連絡が来たのは、ちょうどその頃。
当時、Xさんは20代で、教団活動にフルタイムで専念する「献身者」だった。
Xさんは、F青年部長にこう言われたと証言する。
「今度の衆院選で有田(芳生)さんが東京11区から出馬する。
落とすために対抗馬の下村さんを応援してください」
指示を受け、Xさんは、同じ教会の3~4人の仲間と板橋区内にある下村氏の選挙事務所に向かった。
「そこには、近隣の教会から来たと思われる信者が、他にも10人ほど集まっていました。
事務所には有田さんを中傷するビラが用意されていた。
それをポスティングするのが役目でした」(Xさん)
有田氏は1980年代後半からジャーナリストとして霊感商法などの統一教会問題を追及。
有田氏が国会議員になるのは、教団としては最も避けたい事態だった。
Xさんが続ける。
「教団内では有田さんは悪の権化。潰すために下村さんの選挙を支援しようと」
数時間のポスティングを終え、事務所に戻ったXさんたち。
そこにやってきたのは下村氏だった。
「有田さんのことはあまり注目していなかったけど、最近は力をつけてきているようです。
拮抗してきているので、頑張りましょう」
そう挨拶したという。
■「下村さんは自分たちが信者だとわかっている様子でした」
「手伝ったのは1日だけでしたが、下村さんは自分たちが信者だとわかっている様子でした。
交通費は教会で精算した。開票日に有田さんが負けると信者の間で盛り上がりました」(Xさん)