
世界の自動車産業が中国に支配されていない未来を思い描いていたとしたら、その夢には別れを告げるべきだろう。
なぜなら、トランプ米大統領が26日発表した輸入自動車に対する25%の関税措置は、電気自動車(EV)サプライチェーンのうち、中国がまだ支配していないわずか部分を破壊してしまうからだ。
この関税措置が発動すれば、最大の敗者となるのは日本と韓国だろう。両国の自動車は米国に輸入される自動車の3分の1を占めており、北米以外からの輸入車に限れば、その割合は3分の2に達する。
日本と韓国はEVの開発にとっても極めて重要だ。両国の企業は昨年、世界のEVバッテリー全体の25%余りを生産し、中国がほぼ独占している市場に唯一対抗し得る存在になっている。
一方で米国や欧州の企業は存在感が極めて薄い。今月に入ってスウェーデンのノースボルトが破産申請したことで、その傾向はさらに顕著になった。
韓国と日本の自動車メーカーの利益が壊滅的な打撃を受ければ、そこから収益を得ているバッテリーメーカーも次に苦境に陥るだろう。
これら企業の利益率は通常、良くても1桁台にとどまる。さらに、寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)など中国勢はコストパフォーマンスに優れ、EV業界で急速に普及しているリン酸鉄リチウムイオン(LFP)系バッテリーでもリードを広げつつある。
BYDは先に、5分で充電可能なEVシステムを発表した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-30/STUHXHT0G1KW00