https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170928-00000041-mai-soci
衆院は28日の本会議で解散され、事実上の選挙戦がスタートした。
東京都の小池百合子知事が結党した希望の党と民進党の合流方針で、与野党対決の構図は激変。
野党候補の一本化を目指していた共産党など、他の野党関係者にも戸惑いが一気に広がっている。
一方、小池氏は報道陣を前に口を閉ざした。
「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」。28日正午すぎ、衆議院の議場に大島理森議長の
太い声が響くと、恒例の「バンザイ」の合唱が起き、異様な熱気に包まれた。この日の議場は、
一般傍聴席や記者席は超満員。だが、民進党など野党は欠席して議場中央付近は空席に。
一方、同党を離れて希望の党に参加した細野豪志議員は「離党組」の仲間らと笑みを浮かべながら
握手を交わし、議場を後にした。
民進党の玉木雄一郎氏は国会内で「隠蔽(いんぺい)体質の安倍政権を終わらせるチャンスが来た。
従来、野党が結集すべきだと主張してきたので、希望の党との合流は100%納得している。
10月22日は政権交代という歴史的な日にしたい」と記者団に語った。
東京7区から出馬予定の民進党の長妻昭選対委員長は28日朝、JR目黒駅前でつじ立ち予定だったが、
急きょ中止。事務所関係者は「何が本当で何が違うかも分からない。ポスターも『民進党』で印刷が進み、
どうなるのか」と気をもんだ。
一方、北海道1区から新人で出馬予定の道下大樹氏は札幌市内の地下鉄駅前で「民進党」ののぼりや
看板をたてながら、ビラを配ったが、連呼で党名は一切出さなかった。「党本部から直接情報が得られず、
なんとも言えない。新党の政策をしっかり精査したい」と述べるにとどめた。
既婚男性との交際を報じられ、民進党を離党、愛知7区から無所属での出馬を表明していた山尾志桜里氏の陣営。
民進に続き、共産も27日午前、独自候補擁立見送りを表明し、事実上の野党共闘で自民と対決する
構図ができたばかりだった。支援する自営業男性は「新党が候補者を立てたら票を奪われる」と懸念した。
公認候補5人が離党した民進党の神奈川県連も、共産との野党共闘を模索していたさなかだった。
共産が現職を据えて「必勝区」とする10区は、民進の立候補予定者が離党届を出し、一本化の可能性が
現実味を帯びていた。共産党県委幹部は「人間的にも両党で信頼関係が築かれつつあった区もあった。
公党として、市民との約束を守って」と話した。
昨年の参院選は民進、共産、社民3党が候補を一本化し、自民党現職との激戦を制した青森県も3党間で調整中だった。
共産党の畑中孝之・青森県委員会委員長は「希望の党は安倍政権の補完勢力で野党とは言えない」と一蹴。
民進党関係者は「まとまる話もまとまらない」と漏らした。
自民、民進、共産、維新など5人が出馬の動きを見せる山梨1区。旧民主党出身で3年前の衆院選公示前日に
旧維新の党の比例近畿からの出馬を表明し、当選した小沢鋭仁氏は解散前の取材に、希望の党に移り、
再び1区から出馬を検討していることを明らかにした。衆院で8回当選の小沢氏。自民支援者は「希望から出れば厳しい」
と話した。
群馬県の民進党関係者は戸惑いを隠さなかった。「ネクタイはやっぱり小池カラーの緑にした方がいいのだろうか」
◇役員会、表情険しく
本会議直前に国会内で開かれた民進党代議士会では、前原誠司代表から希望の党への合流についての説明も、
出席者から説明を求める声もなかった。終了後、辻元清美氏は「安倍政権の暴挙を許さないということで
一致結束していきたい。このような解散を許してはいけない」と批判した。
東京・永田町の民進党本部では朝から役員会などが開かれ、幹部らは一様に険しい表情。集まった大勢の
報道陣の問いかけにも「ノーコメント」と応じなかった。ある男性職員は「地方組織への説明もあるので、どうなるか
しっかり説明してほしい」とこぼした。
一方、対応が注目される小池氏は午前9時半過ぎ、ブルーのジャケット姿で都内の自宅を出た。
10人近い報道陣を前に軽く会釈したが口を開くことはなく、車に乗り込んだ。